ことばと猫と音楽と

英語を教える仕事をしています。猫が大好きですが、今は飼っていません。子どもの頃から大人になるまで、音楽を勉強しました。今も細々と学んでいます。食べることが大好き。

運命の人

 夫と知り合ったときは、特にビビビッと来ませんでした。毎日メールが来たり、食事に出かけたりすることが「嫌ではないな」という感覚があったほかは、特に強い決め手があって結婚したわけではないのですが、なんとなくそちらの方向へ、スイスイと進んでいった感じです。

 けれど結婚してからいくつか、「この人は私と結婚すべき人だったんだ」と思うエピソードがあります。

 私は猫が好きで、結婚する直前に9年間飼っていた病弱な愛猫が亡くなったことを知っていた夫は、私を何度か猫カフェに連れて行ってくれました。そのうちの一件に、わたしの猫にそっくりなチビちゃんがいて、初めてその子を見た時には胸が一杯になって号泣してしまったのですが、2度目にそこを訪れたときのこと。

 猫カフェでは受付で時間を書いた首から下げるタグを受け取り、手洗いと消毒を済ませて猫のいる部屋へ入ります。ドアを開けて部屋に一歩踏み入れると、あろうことか20年前から連絡が途絶えていた従姉妹が猫をじゃらしているではありませんか。思わず従姉妹の名前を叫んでしまった私。困惑する夫と周りのお客さんをよそに、ありったけの伝えたかったことを話しました。従姉妹の両親が離婚したために、20年ほど前にこちらの親族とは縁が切れてしまったのですが、私にとっては子どもの頃本当に大好きだった従姉妹です。携帯の番号だけは聞き出して、連絡が取れるようになりました。その猫カフェは、夫が昔何度か遊びに行ったことのある場所で、私は夫と出会うまで猫カフェにはなぜか興味がなかったので、不思議なことだなぁ、と思いました。