ことばと猫と音楽と

英語を教える仕事をしています。猫が大好きですが、今は飼っていません。子どもの頃から大人になるまで、音楽を勉強しました。今も細々と学んでいます。食べることが大好き。

コダーイは、怪しい人ではない

大学を卒業した後、ハンガリーのケチケメート市というところにある、コダーイ研究所で2年学びました。「コダーイ研究所でディプロマを取りました」と言ったら、「それは、UFOを呼ぶ施設か何か?」と聞かれたことがあります。


違います。


ゾルターン・コダーイは、ハンガリーの作曲家、音楽教育家であり、そのメソッドは確か昨年世界無形文化遺産に登録されたのではなかったかしら。


コダーイメソッド、とよく呼ばれるけれど、それはむしろ精神とか哲学で、手短かに説明すると「自国のわらべ歌と民謡をつかって、小さな頃から段階的に音楽教育を行うことで、ひとりひとりに音楽的な根をつくり、そこからクラシック音楽や他国の音楽、現代の音楽へと広く音楽的なリテラシーを身につけさせることにより、人生を豊かに生きる力を養う」というもの。←手短かじゃないですね。


とどのつまりコダーイメソッドは、コダーイが音楽を通して実現したかった、内面が豊かな人たちが集まってできている、理想的な社会を目指す哲学なのだと思います。


だから、ピアノが上手いとか、高いソプラノボイスが出るとか、そういうことばかりではなくて、プロにならないアマチュアも、あるいは音楽家でもない普通の市井の人たちがみんな、音楽という心を豊かにするツールにアクセスするための手段を、公教育で提供しましょう、ということなのです。


そういう公教育が実現したら、日本は文化的に本当に豊かな国になるな、ピアニストばかりがひしめいているのではなくて、そのせっかく素晴らしい演奏を、楽しむ多くの聴衆が育つといいな、と思います。心から。