運命のねこ
ブリーダーさんにお願いした二つの条件というのは、「生後半年になるまで、親猫と一緒に過ごさせてくれること」と、「去勢手術を受けさせてくれること」でした。あまり小さいうちに親から離すと可哀想、というのと、病気や余計なストレスがないように。
ブリーダーさんは快く条件をのんでくださり、めでたく猫が我が家にやってくることになりました。
猫が生後3ヶ月になった頃、ブリーダーさんが猫を連れてうちに下見に来ることになりました。長毛で大柄で鼻ぺちゃなその猫は、仔猫と呼ぶにはずいぶん貫禄があるように見えました。
「抱っこしてみますか?」と言われて抱いた仔猫は、大きさの割に軽くてふわふわで、柔らかかった。抱っこされながら一生懸命に首をのけ反らせて、丸いカンロ飴みたいな目でわたしの顔を不思議そうに見つめていたのが、とても印象に残っています。その時着ていた自分のセーターの色まで、10年以上たった今でもはっきりと覚えているのがとても不思議。
ミルクキャラメル色の背中と、クリームみたいに真っ白なお腹。わたしたちはその猫にシフォンという名前をつけました。
シフォンシフォンシフォン!シフォンがうちに来てから亡くなるまでの9年間、毎日毎日何度も呼んだ、愛しい名前です。