ことばと猫と音楽と

英語を教える仕事をしています。猫が大好きですが、今は飼っていません。子どもの頃から大人になるまで、音楽を勉強しました。今も細々と学んでいます。食べることが大好き。

犬のこと③ 2匹目のまるくん

 わたしの家族は、わたしが大学4年の年に新たなトイプードルの仔犬を迎えました。「わたしの家族は」と言ったのは、わたしはそのとき1年間のイギリス留学に出ており、家族と一緒に犬を迎えられなかったからです。

 父がトイプードル専門のペットショップへ仔犬を迎えに行き、小さなダンボールで出来たケーキの箱のような容れ物に入った、小さな小さな仔犬を連れて、家に帰ってきたそうです。

 家族は前に一週間で死んだ可哀想なまるくんが、この子と一緒にもう一度生きるようにと、この子にも同じまるくんという名前をつけました。留学先のイギリスには、新しいまるくんを迎えて大喜びの家族の写真が、何枚も送られて来て、わたしはとても嬉しく、また羨ましい気持ちでいっぱいでした。

 元々犬好きだった母と弟はもちろんのこと、「犬畜生」などと言って興味のないそぶりをしていた父までもが、小さなまるくんにメロメロでした。日本から送られてくる写真には、まるくんを膝に抱いた母や、頭に乗せた弟や、背中に乗せた父の笑顔がたくさん写っていました。

 弟からの手紙には、「まるは鳥で、うさぎで、羊で、猿で、犬だ!かわいい!」と書かれていました。家族がこの犬のおかげで、どんなに楽しく幸せだったか、今思い出しても心が温かくなります。

 わたしが帰国したときには、まるくんは我が家の王となっており、吠えるわ噛むわ、それはもう手の施しようのないほどのやんちゃ犬に成長していましたが、犬育て初心者のわたしたちなりに、愛だけはたっぷりと注いだと思います。

 もっと犬のしつけや健康のことをわかっていたら、と後から申し訳なく思うことがたくさんありますが、まるくんはわたしたちにたくさんの可愛い、楽しい思い出を残してくれました。